卵巣腫瘍とは

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卵巣腫瘍とは
Ovarian tumor

子宮筋腫

卵巣腫瘍は、ほかの臓器に発症する腫瘍に比べて非常にたくさんの種類がありますが、臨床経過からは、良性、悪性、境界悪性(良性と悪性の中間的なもの)の3群に分類されます。一般的に、内部に液体を含んだ嚢胞性(のうほうせい)腫瘍は臨床経過としては良性のことが多く、充実性(じゅうじつせい)腫瘍は約75~80%程度が悪性もしくは境界悪性腫瘍です。卵巣腫瘍は良性・悪性に関わらず腫瘍が比較的小さい場合には無症状で経過することが多く、腫瘍の増大にしたがって症状が出現してきます。腫瘍が大きくなると、下腹部膨満感を感じたり、腹囲が増大してきます。

卵巣のう腫(らんそうのうしゅ)※良性卵巣腫瘍

卵巣のなかに、液体成分がたまってはれている状態の嚢胞性腫瘍です。婦人科臓器に発生する腫瘍のなかで、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)と並んで最も発生頻度が高い腫瘍のひとつです。ほとんどが良性ですが、卵巣はおなかのなか(腹腔内)の臓器であるため、正確には手術で摘出して病理検査をしてみないと、絶対に良性であるとは断言できません。 卵巣嚢腫(良性卵巣腫瘍)にはいくつかの種類があります。

 

・漿液性のう胞腺腫(しょうえきせいのうほうせんしゅ)

嚢胞内部に黄色い透明な液体がたまる腫瘍で、卵巣嚢腫の約25%を占めます。

・粘液性のう胞腺腫 (ねんえきせいのうほうせんしゅ)

多房性の嚢胞性腫瘍で、粘稠性のある液体が中に含まれまれ、卵巣嚢腫の約20%を占めます。

・皮様のう腫(ひようのうしゅ)

嚢胞内部に皮脂、毛髪、歯、軟骨などを含んだ腫瘍で、大きさは通常、直径10cm以下で、卵巣の両側に発生することもあります。良性の卵巣嚢腫のなかで最も頻度が高く、その半数以上を占めます。
大部分は20~30代に発生します。そのため、妊娠中に発見されることもあり、その場合は妊娠初期に手術を行うこともあります。また、嚢胞内部に皮脂、毛髪などを含んでいるため、腹部X線検査でこれらが写って発見されることもあります。

充実性腫瘍(7~8割はがんなどの悪性)

「充実性腫瘍」とは、充実成分(固形成分)でできた腫瘍のことで、液体がたまった「のう胞性腫瘍」が、触るとぶよぶよした感じであるのに対し、「充実性腫瘍」はしこりのような硬さがあります。卵巣にできる腫瘍では、約1割程度と少ないのですが、悪性(卵巣がん)である可能性が高いため注意が必要です。

初期症状はないことが多いのですが、腫瘍が大きくなると皮膚の上から触っただけで硬さを感じることもある他、下腹部痛や腰痛、生理不順などが現れることもあります。また、おなかに水がたまる「腹水」がみられやすいのも特徴です。充実性腫瘍の中身は、すべてが固形の「充実成分」である場合と、液体成分も混じっている(のう胞性腫瘍の一部が充実化している)場合があります。
充実成分が認められた場合は、悪性かどうかの判断が急務です。ただし手術なしで正確に判断できることは少ないため、手術を行うことが原則となります。

 

・境界悪性卵巣腫瘍(きょうかいあくせいらんそうしゅよう)

良性の腫瘍と悪性の卵巣がんのちょうど中間の性質をもっている境界悪性腫瘍は、通常は確実に摘出してしまえば生命に関わることはありませんが、ごくまれに長期間経過後に再発することがあります。したがって、境界悪性腫瘍摘出後にも慎重な経過観察が必要とされます。

・悪性卵巣腫瘍(あくせいらんそうしゅよう)※卵巣がん

卵巣がんは、初期の場合なら完治率も改善傾向にありますが、進行した場合は依然再発率も低くなく、治療に苦慮することがあります。卵巣がんの特徴として、おなかに水がたまる腹水とそれによる腹膜播種(はしゅ)という転移形態をとることも、治療を困難にしている原因のひとつです。

卵巣腫瘍の治療

通性の卵巣腫瘍と考えられる場合には腹腔鏡手術が適応となります。大きな卵巣腫瘍であっても内容液を吸引後に摘出するなどの工夫をすることにより腹腔鏡手術での摘出が可能となる場合があります。
しかし、悪性を疑う場合には卵巣癌手術(子宮全摘出術+両側付属器摘出術+リンパ節郭清術+大網切除術)が必要となりますので適切な病院を紹介いたします。

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