婦人科の病気で「腹腔鏡手術を御希望の方」や「子宮内膜症による痛みでお困りの方」に来ていただく外来です。
しっかりと検査をして、手術適応の有無、術前・術後の治療内容などをご説明させていただきます。
内視鏡手術(腹腔鏡下手術)は、腹部に5mm~12mm程度の筒(トロッカー)を入れ、そこから腹腔鏡(CCDカメラ)を入れてモニター画像を見ながら鉗子(手術する道具)を用いて行なう手術です。切開創そのものが小さいため、痛みの軽減や早期の社会復帰を期待できますが、手術の難易度は高くなります。
トロッカー
手術を行う空間を作るため、腹腔を炭酸ガスで満たしたり、ビデオカメラや鉗子などを体内へ挿入するための筒状の器具です。
鉗子(かんし)
鉗子(かんし)は、血管、腸管、神経などの組織を挟むための道具です。用途にあわせて把持鉗子、剥離鉗子、ハサミ鉗子などがあり、手術の様々な場面で使い分けています。
腹腔鏡手術の基本的な配置で,腹部に4箇所のトロッカーを挿入します(マルチトロッカー法)。症例によっては臍の単孔式手術や細径鉗子を使用する方法で行なうこともあります。
お臍のところから入れた筒(トロッカー)からCO2(炭酸ガス)を送気してお腹を膨らませて(気腹)カメラを入れて中の情報をモニターテレビに映しだします。この映像を見ながら、トロッカーに通した鉗子で手術操作をします。
子宮内膜症は、子宮内膜あるいはその類似組織が、子宮外でエストロゲン依存性に発育・増殖する病気で、生殖年齢女性の5~10%に発症すると言われています。子宮内膜症の病巣は、一般的に骨盤内、特に子宮、卵巣、ダグラス窩腹膜、および仙骨子宮靱帯に存在することが多いのですが、膀胱・尿管・腟・腸管・腎臓・肺などの他臓器にも発症する例があります。
子宮内膜症の多くは良性疾患ですが、病変が拡大、進展することで、関連した「痛み」などの症状によって日常生活が困難になることや「不妊」の原因になることがあります。子宮内膜症に対する治療は、2007年の European Society of Human Reproduction のガイドライン や 2010年の 日本産科婦人科学会の子宮内膜症取扱い規約 に沿った治療方針をベースとして治療を行ないますが、施設によって治療方針が異なることがあります。
子宮内膜症に伴う仏痛に対しては、一般的に薬物療法が第一選択となることが多くなります。薬物治療では、非ステロイド系消炎鎮痛剤を用いた対症療法、GnRH アゴニスト療法、ダナゾール療法、低用量経口避妊薬(LEP療法)、プロゲスチン製剤(ジェノゲスト)などを用いたホルモン療法が行われます。
当院の内膜症外来でも個々のライフステージに合わせた療法を行なっていきたいと考えております。どの薬物療法が適しているのか、どの時期に手術をするのか、術前・術後の薬物療法はどうするのか。閉経までの管理をも視野に入れて、お一人おひとりのライフステージを考えた上で、医師と患者がともに「何のために手術をするのか」を考えることが重要であると考えております。