出産を間近に控えた女性にとって心配になるのが分娩方法です。誰もが赤ちゃんを安心して産みたいと願うのは当然のことです。妊婦は長い月日を赤ちゃんとともに過ごし、その間に体にかかる負担も大きいうえ、さらに出産という大仕事が待ちかまえているのです。
産婦人科の先生は、お母さんに安心して赤ちゃんを産んでもらうため、お母さんと赤ちゃんにとって最適な出産方法を選択します。多くの場合は経腟(けいちつ)の自然分娩が選択されるかと思います。しかし、何らかの理由でお母さんや赤ちゃんが危険にさらされるのであれば、腹部と子宮の壁を切開して、赤ちゃんを取りだす帝王切開が選択されます。
あらかじめ計画的に行う帝王切開です。
逆子(骨盤位)・双胎(ふたご)・前置胎盤・児頭骨盤不均衡・前回帝王切開などの場合に行われます。
(当院では前置胎盤などのハイリスク症例は扱っておりません。)
母体か赤ちゃんに何らかの問題が起きたため急いで赤ちゃんをとり出す必要がある場合に行われます。
胎児機能不全(心拍パターン異常)・胎盤早期剥離・妊娠高血圧症候群・分娩進行障害などの場合に行われます。
ほとんどの帝王切開術は、脊椎麻酔または硬膜外麻酔(またはその両方)のもとで行います。いずれも下半身に効く麻酔なので、手術中でも意識があり、赤ちゃんと対面して産声を聞くことができます。
少しでも傷が目立たないように、恥骨の上を横に切る形(横切開)を基本として行います。切開距離は10~15cmですが、お腹の大きさが妊娠前に戻るとともに、傷口は小さくなります。緊急帝王切開で赤ちゃんを早くとり出す必要がある場合や、子宮筋腫などのために手術の視野がせまくなる場合には、おへその下から恥骨に向かって縦に切開します(縦切開)。
妊娠中期以降の流早産の原因として最も多いものは「頸管無力症」で、流早産の原因の約半分を占めていると言われています。妊娠中期・妊娠後期になって、何の誘因もないのに、また陣痛などの痛みもないのに、自然に子宮口が開いてしまうことにより流早産となるため、その治療もしくは予防として、子宮頸管を縫宿する手術が行われます。
通常はシロッカー手術(Shirodkar operation)かマクドナルド手術(Mcdonald operation)が行われます。
いずれの手術においてもかなりの流早産予防効果が期待できます。
なおこの縫宿した部分については、妊娠10ヶ月に入り胎児の発育も順調であり、もう分娩に至っても大丈夫であると判断された時点で抜糸するのが普通です。抜糸後は個人差はありますが、数日以内に分娩に至るのが普通であり、抜糸当日に分娩となる場合も少なくありません。
卵管結紮手術は、女性への避妊(ひにん)手術で、女性の卵管を糸で縛ってしまう方法です。
卵管は卵子の通過路なので、卵管を縛る事で卵子の卵管の通過を防止し、妊娠をしないようにするものです。
卵管結紮術にはさまざまな方法があります。
卵管を縛っても副作用はなく、単に妊娠しなというだけで、女性としての機能は何も変わりません。生理(月経)も手術後に変化する事はありません。